小野篁は平安時代の実在の人物です。百人一首にも参加している文武両道の人です。
私は昔からこの人の冥府通いの伝説が好きで、この人を題材にした物語も好んで読んでいました。当然知名度も高いと思っていたのですが、意外と知られていないようで、なんとなくショックだった次第です。漫画「鬼灯の冷徹」に登場しているので、そちら方面から知った人ならいるかも?

昼は現世の役人、夜は冥府の役人。今も京都にある六道珍皇寺の井戸から冥府へ赴き閻魔大王の補佐をしていた…とまあ、なんとも創作心をくすぐる伝説です。篁公の立像は袖の下の方が翻っている形に彫られているのですが、この袖は井戸から冥府へ降りている姿を表現したものだそうですよ。面白い!

六道珍皇寺には今も冥府通いの井戸が残っていて、特別公開の時には見学もできます。 解説の方によると、この井戸からは今も霊気のようなものが漂っているそうで、いわゆる「本物」の方が見学に訪れた時は、皆さん何の案内もしないうちから「あちらが井戸ですね」と方角を特定してしまうそうです。

ちなみに六道珍皇寺の井戸は冥府行き専用で、現世への帰り道には福生寺の井戸が使われていたそうです…が、 福生寺は明治時代に廃寺になってしまって今はもうありません。なので「帰り道がなくなっているので、万が一冥府に迷い込んでしまったら大変だから、現在は井戸に蓋をしているんですよ~」とのこと。解説も茶目っ気があっていいですね!

わりと最近、ライトノベル分野で篁伝説を扱った人が後書きで「 六道珍皇寺行ったのに入れなかった。お土産らしき物を売ってるコーナーがあるのは見えたのに入れないってどういうことよ!」的なことを書いていたのですが…。前述した通り、ここは普段は非公開です。特別公開の時期に行くか、事前に予約して見学させてもらうか、でないと入れません。ちょっと調査不足だったようですね。

というわけで教訓。
京都の寺社仏閣はいつでも誰でも入れるとは限りません。事前調査はしっかりと。