連載終了当時「物語の締め方のお手本」とまで評された、少年漫画の傑作。結構古い作品なので、今年アニメ化されたことで初めて知った方もいることでしょう。
 
この作品、それぞれのエピソードも良いのですが、主要キャラはもちろん、ゲストキャラ(含妖怪)に至るまで、登場人物がとても魅力的なんですよね。さらに、そのエピソードだけのゲストと思われていたキャラが思いがけない場面で再登場して美味しいところを持っていったり、「まさかあの人が?」と思うような人が後に重要な役割を果たしてくれたり。まさに「これまで出会ってきた者、経験してきた事のすべては無駄ではなかった」ですよ!長い連載の間に初期の人物やエピソードが忘れ去られる…なんてことはないのですよ!

もう一つ、様々な伏線と、その回収の仕方も見事でした。伏線回収に関して一番 唸ったのは、序盤も序盤、うしおが獣の槍を手に入れて間もない頃「柄になにか漢字のようなものが彫ってある」と気付く場面。このシーンそのものはすぐ終わってそれっきりになってしまうのですが、物語が進み、獣の槍誕生秘話においてこの文字がなんだったのか明かされます。刻まれた文字の真実を知った時、まさに魂が震える思いでした。長い長い時を経て、獣の槍は最も相応しい使い手のもとに、渡るべくして渡ったのだ…!と。これだけの物語構成を長期連載初挑戦の作者がやってのけたということに驚きを通り越して感動を感じます。

さてこの作品のヒロインはいわゆるダブルヒロインなわけですが、雑誌連載当時、圧倒的に人気だったのは真由子の方でした。私も「あやかしの海」あたりまでは麻子いいな~と思っていたのですが、話が進めば進むほど、どんどん真由子派に…。麻子は意地っ張りキャラなので、素直で健気な真由子の方が一般に好かれる傾向があるのは確かですが、特に真由子ととらが絡むエピソードに珠玉の出来栄えの話が多いということも影響していると思うのです。 
これには実のところタネも仕掛けもありまして。連載当時、作者インタビューで「真由子の方が人気があることについて」という話があったのです。(麻子とうしおが両想いであるらしい描写は作中あちこちにあるので、それを踏まえて)その時の作者の回答が
「真由子は (うしおとは)報われないし、この先大きな決断が必要な運命が待っている。だからせめて、読者さんは真由子を好きになってあげてくれ、と思って」
 ということでした。つまりは作者の親心で、より好かれる方向に成長していったんですね。
ちなみにこの作品、連載がまだ続いていた頃にオリジナルビデオシリーズとして当時の人気エピソードがいくつかアニメ化されているのですが、この時の真由子の声(cv.冬馬由美)がどストライクでして…ゆっくり喋っているわけでもないのに、どこかおっとりして聞こえる口調とか、フワフワした可愛い感じとか、私のイメージする「真由子の声」そのものだったのです。今のアニメの声が悪いわけではないんだけど、どうしてももっとフワフワ!もっとおっとり!と思ってしまうという…。

うしおととら 完全版 6 [ 藤田和日郎 ]
うしおととら 完全版 6 [ 藤田和日郎 ]