現代日本の普通女子が乙女ゲームの悪役令嬢に転生!といえば大抵は幼少期、遅くともゲーム上の開始時点で前世の記憶が蘇り、破滅フラグをせっせと折っていただけのつもりがいつの間にか恋愛フラグが立ちまくる…という展開が定番です。が、この作品で主人公の前世の記憶が蘇るのはゲームラストの悪役断罪シーン。もう詰んでるじゃん!…という場面からスタートする所が変わり種。
さてここから、学園を追放された主人公が前世の記憶を生かして商会を立ち上げたり領地経営をしたり…のお仕事小説になっていくわけですが。…これ乙女ゲーム世界である必要性無くない?単純な転生モノでも良かったような。頑張る主人公の姿にかつての攻略対象達が魅了されていく展開になるわけでもないし。というか、主人公が社会に出てから関わっている人達の方が有能で、正直攻略対象のイケメンズは単なる「頭がお花畑」のダメンズにしか見えない。学校で優秀な人と社会で優秀な人はイコールではないということは社会人になると実感するから、主人公にとって、かつての婚約者とか攻略対象達はもう魅力のカケラもないはずだし。弟くんは少し改心を始めている気配ではありますが…。

いくら現代日本の知識があっても、商会はともかく領地経営はそうトントン拍子にはいかないと思うんですが、まあ女性がバンバン的確な指示を飛ばして成功していく姿は爽快感がありますね。途中から関わってくるあの人がどう考えても第一王子だし、この先は彼との関係も描いていくことになりそうかな?

公爵令嬢の嗜み [ 澪亜 ]
公爵令嬢の嗜み [ 澪亜 ]