「ごはんとお酒でだれかをゆたかに」がモットーの居酒屋店主の主人公。殺された彼が転生したのは日本の里山のような異世界。その世界で居酒屋を営むエルフ娘と出会い、成行きでクレーム客に対するもてなしを成功に導く。エルフ娘の所で世話になることになった主人公は村の乏しい食材から美味しい料理を作ろうと奮闘することに…

というわけで、ネット書評での評判は上々だった作品なんですが…
私には今一つだったかな。 
タイトルからいけば異世界に現代日本の料理で料理革命!という展開になるのかと思われるのですが、この世界の設定では

・異世界人は珍しいが「普通に存在するもの」として認知されている
・舞台となっている村では貧しい食生活だが大国ではピザなどの料理が普通に食べられている

となっているので、主人公の料理が世界的に「こんなの見たことない!」というわけではなく、扱う料理も居酒屋メニューでどちらかといえば地味。何より食材の設定が、味も見た目も性質も、オマケに名前まで日本の物と全く同じ、という「これ異世界でやる必要あるの?」 という都合良さ。なので日本の物と同じつもりで使ったら上手くいかなかった、みたいな異世界ならではの失敗も起こりません。…ホントにこれ「昔の日本の里山にタイムスリップ」でも通用しそう。…というか、その方がまだ説得力あるくらい。
でも何より肌に合わなかったのはヒロインのエルフさん始め登場キャラのほとんどが「興奮すると同じ言葉を繰り返す」という性格付けになっている所でして。たまにならまあいいんですが、そういう場面が多すぎて、本当に随所で繰り返されるので、途中からうんざりしてしまいました。美味しい物に対するリアクションも毎回ほぼ同じ「なにこれ、うわはは」で変化がないし…。

最初のウサ耳騎士さんのクレームをチャンスに変えるおもてなしエピソードが良かったので、その辺まで本屋で読んで購入したのですが、良かったのはそこだけだった…。
文化人類学的見地から村のあり方を考察したりといった着眼点はそれなりに面白かったと思うのですが、とにかく登場キャラのウザさに目が行ってしまって、ちょっと残念な作品でした。
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