王都で軍人になりたいと宣言した主人公。村で最弱である主人公の身を案じた村人達は総出で止めるが、村長の鶴の一声によって王都行きが決定する。だが彼も村人も知らなかった。この村とその住人の基準が異常なのであって、外の世界では「村最弱」の主人公でも人類最強クラスの強さだということを…

というわけで、自分が弱いと勘違いしている主人公が、最後まで勘違いしたまま無自覚に国の危機を救っちゃう話。身もフタもない展開オンパレードのコメディです。
異色なのは地の文ですね。ですます調の丁寧口調で現代人視点の解説やツッコミが入っています。ちょっとおとぎ話的な感じを意識しているのかな? 正直最初は違和感凄かったです。ファンタジーなのに「新社会人が…」といった例えが出されるので。まぁ読んでるうちに慣れましたが、この地の文に関しては賛否両論あることでしょう。

一応主人公が自分の強さを自覚していない事に対するちゃんとした理由付けはしてあって、主人公の出身村ではいわゆる「モンスター」を「ごく普通の動物」だと認識していて、魔王クラスで初めて「モンスター」という分類になる等々、出身村の異常性は序章でバッチリ説明されています。そりゃその環境で生まれ育って「これが普通」だと思ってたら「自分は弱い」と思うよね…。ただ、ある場面では「主人公が軽く叩いただけで相手が大怪我」なのに別の場面では普通に肩を叩けたり、握手で相手の手を握りつぶしちゃうようなトホホイベントも起こらないなど、「強さに無自覚だから力加減もしてません」という設定に矛盾が出る箇所が散見されるのが残念です。
ちなみにヒロインは多分マリーさん…?最初に「いかにもヒロイン」という出会いを果たす「ベルト姫」セレンは正直ドン引きレベルに変な方向に仕上がっちゃってるので、素直にヒロイン認定は出来かねます(笑)

ちなみにこの本、最初の人物紹介ページにとんでもない誤植があります。二人の人物に同じ紹介文…Σ( ̄ロ ̄|||)  幸い口絵イラストにも同様の人物紹介文(こちらは正確)が載っているので、ダブった紹介文がどちらの人物を指すのかは明確に解りますが、初っ端からこれを見せられちゃうと正直ガッカリですね。