神様にチート能力を貰って異世界転生した主人公。冒険者としてめきめき強くなっていたが、この世界の「万能型は弱い」という常識のせいでパーティーを組めず、冒険者の道を諦めてギルド職員になることに。だが配属先のギルドは何かと問題だらけで…

というわけで、誰よりも強いギルド職員がギルド改革に奮闘する話。なんというか、色々ツッコミどころ満載でした。
主人公は「なんでもできる代わりに弱い、この世界の万能型」とは違い「神様謹製の万能型」なので強さに上限はないのですが、それを周囲に証明することができず、冒険者としての未来が無くなった…と説明されてるんですけど、証明、簡単ですよね?召喚魔法でA級魔獣を喚び出したことで周囲が愕然とするシーンが何度かありますが、冒険者時代にこれをやるだけで「タダ者じゃない!」と証明することができたはずですよね?「ドラゴンを倒せると言っても信じてもらえず…」というのも、口で言うだけじゃ信じてもらえないのは当たり前なんだから、とっとと一人で倒しに行ってご自慢の空間魔法で獲物を運んで来て、目の前で出して見せれば良かったですよね?実際彼の空間魔法を見せられた人は、それだけでも驚愕してたじゃないですか…。
ギルド改革に話を持っていくため、なのは解るけど、ちょっと無理矢理感があったと思います。
そのギルドのシステム自体も、依頼を請けなくてもランクアップが可能だとか、ソロの冒険者を認めないとか、「冒険者千人オーバーのギルドで受付窓口は三つだけ」とか、主人公が活躍するために作った設定ですよ~という感じがありありと。むしろ「冒険者としてやっていくつもりだった主人公が、支援システムであるべきギルドの惨状を見かねてギルド職員に転向」とかの方が自然な流れだった気がしますね。
ギルドの人物それぞれについてはそこまで悪くなかっただけに、話の無理矢理ぶりが勿体なかったです。あとは個々の冒険者像をもっと描き込んでもらいたかったかな。ソカ以外の冒険者は今回「冒険者」という記号でしか描かれていなかったので、話の展開に説得力が欠けていました。この辺りは次巻以降で改善されていくことを願います。
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