鍛えてもちっとも強くなれず、最弱戦士として3年間を過ごしていた主人公。パーティメンバーに虐げられていた彼はパーティを抜けて転職することを決意したが、実は冒険者ギルド登録時にギルドのミスで適性検査を受けていなかったことが判明。改めて検査を受けると、魔法適性が最高ランクであると分かり、魔法ギルドで魔導師として新たな人生をスタートしたが…

というわけで、魔導師になったら凄かった主人公が何の努力も無く最強になっちゃう話。

冒険者ギルドのミスのせいで魔法の才能を見落とされ底辺戦士に甘んじていた、という境遇以外はごく普通でヒネリのない主人公最強チートものです。ただなんというか、魔導師カンタンすぎませんかねというか…。才能はあっても修業をしたことも練習したこともない主人公が呪文を単純に真似するだけで高威力の魔法を連発できるとか、魔法なめてんの?とどこかから苦情が来ても不思議が無いレベル。転生&転移系主人公には多い現象ですが、彼らには「転生特典のおかげであり一般人には無理」という理由付けが一応ありますから…。この主人公はこの世界で生まれ育った一般人なんで、やっぱり主人公に甘々な設定といえるでしょうね。まあこの主人公は性格的に最初から正しく才能を見出されて最強魔導師やっていたら傲慢な人間になっていたタイプだと思うので、周囲の人達にとっては一度挫折を味わってもらったことは幸いだったんじゃないかなぁ、と。

あと、この世界では冒険者のSランクと魔導師のCランクがほぼ同等、魔導師はドラゴンの単独討伐くらいできてようやく一人前ですよというエグイ設定になっていて、作者の「魔導師」に対する贔屓が仄見えます。主人公が周囲に褒めたたえられるお膳立てだけは余念がない、という感じ。

物語的には、起こる事件とかその対処とかが場当たり的でご都合主義全開だったり主人公がこれといって努力も苦労もしないので盛り上がりに欠けたりと、いまひとつ評価できない感じです。が、まだ1巻目なので今回は人物紹介編と割り切れなくはないです。次がどうなるかで評価が決まるかな?


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