勇者召喚に巻き込まれた主人公。定番通り無能の烙印を押された主人公は国王により「処分」されそうになり、イチかバチかで特殊技能「市場」を使用。技能によって繋がった地球のブラックマーケットで胡散臭い商人サイモンとの交渉の末、手に入れた銃器で窮地を脱した主人公は、ひょんなことからドワーフの少女ミルリルを助けることになる。ミルリルを送り届けるだけのつもりで亜人達と関わりを持った主人公は、成行きで亜人達を現代銃器で武装して人間の王国と戦うことに…

というわけで、巻き込まれた主人公はチートで最強…というわけではないけど現代兵器は強かった、という話。表紙のイメージからはかけ離れた血生臭い話ですが、結構読み応えがあって面白かったです。

巻き込まれて役立たず認定、までは定番なんですが、その後が即 血で血を洗う殺戮劇というのがなんとも凶悪です。召喚主も召喚勇者達もロクなもんじゃないですが、主人公も充分すぎるほど危険人物ですねこれ…。「殺されかけたら殺すだろフツー?」と言い切る割り切りの早さこそがこの主人公の一番の特異性かも。ミリオタ設定とはいえ、この順応の早さは特筆ものですね。
なんというか殺伐とした話なんですが、エルフとかドワーフ達が銃器に魅せられてどんどん変なテンションになっていくあたりは妙に可笑しいです(笑)

召喚勇者三人組は揃いも揃ってロクでもないようで、それ自体は珍しくないんですが、普通の召喚者は能力だけは際立っているというのがお約束なのにそうでもなくて、特に「賢者」は役立たずを極めてるのは珍しいかな?王国側もステータスの数値とか称号ばっかり気にして本当の役立たずを見極められてないじゃん、というね。

それにしても、召喚主の王国側も主人公の初期ステータスを確認したなら「収納」や「転移」のスキルがあることは判ったはずなのに役立たず認定した、というのはちょっと不自然ですね。戦う力が無かったとしても、この二つの能力だけで軍の運用にとても有用だということは明らかだと思うんですが。増して固有技能が「市場」で職業が「商人」ときたら、異世界人はともかくイマドキの高校生の勇者達なら「ラノベで定番のチートスキルじゃん!」という反応をしても良さそうなものですが。実際には「死の商人」だし取り寄せできるのも武器系統に偏ってましたが、召喚勇者達なら「日本の物が取り寄せられるスキルかも」という期待感で主人公を庇う展開になっても良かった…というか、会ったばかりの召喚主の国王と一緒になって主人公を殺しにかかるより庇おうとする方が自然だと思います。もしくは主人公と王国兵士のいきなりの争いに巻き込まれたくないから存在感消してコソコソ避難してた、とか。勇者とかいっても、仮にも平和に生きてきた日本人がいきなり「無能なんだから死ねや」とか言い出すのはやっぱりちょっと違和感が…。いや主人公の反応も大概でしたけど。
城を脱出して以降の展開については不満はないけど、最初のこの展開だけはもう少しどうにかならなかったのかな…。





人気ランキング参加中!