飛行機事故で異世界に転生した主人公。この世界なら幼い頃から憧れていた「本物のメイド」になれる!母の死後、主人公に残された手紙でメイドになる夢を後押ししてもらった主人公は亡き母に「世界一のメイドになる」と誓う。その瞬間、謎の声と共に膨大な魔力に目覚めたけど、その魔力に振り回されることもなく「メイド魔法」として昇華してしまった主人公は、王都に出て貧乏貴族のたった一人の使用人として八面六臂の大活躍。充実したメイドライフを楽しんでいた。…その頃、この国の王太子と婚約者候補の侯爵令嬢は「ヒロインが現れない!」と焦っていた。実はこの世界はとある乙女ゲームの世界で、二人は主人公と同じ転生者。ヒロインが恋によって聖女の魔力に目覚めないと、いずれ復活する魔王が倒せないのだが…

というわけで、乙女ゲーム世界に転生したけど、そうとは知らない主人公が聖女の力をメイド業務に極振りしてひたすら業務に邁進していたら勝手に色々上手くいっちゃう話。
面白かったです。軽快にツッコミまくる地の文がいい仕事してます(笑)

「メイド魔法」と言ったら何でも許されると思うなよと言いたくなるくらい何でもアリの魔法と、それによって幸せになっていく元・貧乏貴族令嬢との交流も微笑ましい♡
ダンスシーンの挿絵は二人の見分けが付かないという意味で残念すぎる出来映えでしたが!折角の美麗シーンだったのに…。

あと、攻略対象その1である王太子と悪役令嬢ポジの転生者二人が「万一のバッドエンド対策」として色々小細工していたせいで、そもそもの最初からシナリオが狂っていたというオチもナイス。
主人公のブッ飛び行動がシナリオ破壊の主原因(王子達は気付いてません)とはいえ、自分達二人のシナリオ無視っぷりも大概だったことにラストまで気付いてなかったとか(笑) 実際には”ヒロイン”はちゃんと現れていたし、ゲームを知らないせいで「敢えて」フラグを折る、または立てるという行動は取らなかったからヒロインイベントもちゃんと起きてたんですけどね。肝心の主人公がメイドに徹するあまり、生来の目立つ容姿を地味に変更していたことに気付かなかったのが敗因ですね。”恋愛以外の要素でも聖女の魔力は覚醒する”という可能性をカケラも考えていなかったのも敗因かもですが。やっぱり王子&侯爵令嬢コンビは頭がゲーム脳すぎたというか、根本的な考え方が子供なんですよね…。

まぁこの先”ヒロイン”が現れなくても「自分達の行動が原因だから」と勝手に納得して、執拗に”ヒロイン”を探すようなことはもうしないだろうから、結果として主人公の幸せなメイドライフは守られそうですね。
というか、主人公が「ヒロイン」であることに王子達が気付いていたら彼女にシナリオを遵守させようとして色々困った展開になっていたかも。変に出会ったりしなかったせいでゲームなんか目じゃないくらい平和なハッピーエンド展開になったんだから結果オーライ!


この作品、どこが一番共感したかって、王子と令嬢の転生者コンビに対する評価です。
”前世と今世、トータル32歳だから大人、というわけではない。子供時代を二回経験したって子供の経験しか詰めない。大人としての経験を通してしか大人にはなれないのだ。つまりこの二人は前世も今世も子供でしかない”
…というところ。
ですよね!
大人になってから経験することって子供時代とは全然違うんですよ!価値観も大きく変わるし、子供時代って世界が狭かったんだなと実感しますからね。庇護者に守られた子供時代を何回繰り返そうと、大人として過ごす一回の経験には敵わないですよ…。この辺り、転生もので違和感を感じる作品が多いから、サクっと言及してくれてなんかスッキリしました。

鑑定士(仮)の方は絶賛更新停止中でweb連載再開の見込みも書籍続巻の見込みも完全に未知数ですが、こちらはこの一冊で綺麗に完結。
…と思ったら、
エピローグという名のプロローグ?
物語はまだ始まったばかり?
…いや止めようよ、そういうの!これで完結、でいいじゃん!綺麗に纏まってるよ!
というか、鑑定士(仮)の例があるから変に続きそうな気配出さない方がいいと思う!


同じ作者の別作品 → 最強の職業は勇者でも賢者でもなく鑑定士(仮)らしいですよ?



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