乙女ゲームの悪役令嬢…の、執事に転生した主人公。ゲーム通りの展開を辿るなら、”ヒロイン”に危害を加えた令嬢もろとも処刑エンドが待っている。自分ひとりだけなら令嬢に関わらないだけで破滅を回避できるが、悪役令嬢のキャラも気に入っていた主人公としては彼女も破滅から救いたい。一念発起して猛勉強した結果、わずか6歳にして見事に悪役令嬢の専属執事の座を手に入れることに成功した主人公は執事として、そして教育係として惜しみなく愛情を注ぎ彼女を育て上げる。努力の甲斐あって悪役令嬢はどこから見ても非の打ちどころのない完璧令嬢に成長したが、主人公の介入のせいでゲームシナリオが狂ったらしく、3年後まで登場しないはずのゲームヒロインがぐいぐい関わってきて…

というわけで、ゲーム世界でお嬢様の破滅回避に奔走する執事の話。面白かったです。
転生といっても主人公の前世は日本人ではありません。科学も魔法も大いに発展していて、乙女ゲームもあれば魔法もある世界だったそうです。なにその世界楽しそう!…というのは置いといて。

元・悪役令嬢のお嬢様がとても可愛いですね。勉強家でしっかり者で凛として高潔でありながら優しくて可愛いとか完璧すぎですね。主人公の英才教育ハンパないな…!
そんなお嬢様やゲームヒロインから好意を寄せられる主人公ですが、よくある鈍感系ではなくきちんと好意を理解した上でいろいろ気を回しているので好感が持てます。苦労性とは思うけどな!

「お嬢様はゲーム通り王子に恋をするんだろう」と思っていたら、当の王子がオコサマすぎて対象外だったというのは笑うけど!英才教育が行きすぎましたね(笑) アンタ、自分と同レベルの教育を他者に期待しちゃイカンよ?あなたのお嬢様、どう考えても普通の12歳の到達できるレベル超えまくってますからね(笑)
というか、お嬢様が主人公一筋で王子なんか目もくれないのは読者的にはあまりにも当然の展開でしたけどね。

ただ、挿絵が…容姿は可愛くて文句ないんですが、文中で何度も「銀髪」と書かれているお嬢様の髪色が金髪になっているのはどうなんだろうとモヤモヤします。
その辺作者的にどうなのかと思ったのでweb版をチェックしにいってみましたらば、

作者イメージは「銀」だったけど、イラストレーターさんから提案された「金色寄りのプラチナブロンド」の色合いが気に入ったので今後は「白金」描写でいくことにした

とのこと。
うん…作者が納得しているなら外野がとやかく言うことじゃないですね。了解しました。


さて今のところ八方丸く収まってハッピーエンドに向かっている感じの本作ですが、実はゲーム本編の開始にはあと3年もあるんだというあたりがね。ゲームシナリオ的に待っているだろう波乱万丈にどう対処していくのか、が今後のメインになるのでしょうか。
個人的にはこの一冊だけで終了まで行ってくれた方が勢いがあって良かったような気がしないでもないのですが…まぁ今後に期待します。


同じ作者の別作品 → 回帰した悪逆皇女は黒歴史を塗り替える



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