れっきとした男爵家の娘なのに、双子の妹に比べて出来損ないと言われて虐待され、使用人代わりに働かされていた主人公。だが12歳のスキル確認の日に、新種のスキルの持ち主だと判明したことで彼女の人生は一変する。賓客待遇で王立研究所に迎えられ、初めて他人から優しく接してもらった主人公は、少しずつ自分を表現できるようになっていく。一方、火魔法のスキル持ちと判明したため主人公と同じ研究所に魔術制御の訓練生として通うことになった双子の妹は、主人公とのあまりの境遇の違いに不満を膨らませていて…

というわけで、他者によって出来損ないと思い込まされ劣等感の塊になっていた主人公が本当の自分を見つけていく話。

生家での主人公の待遇があまりにも酷すぎてドン引きレベルです。その理由については終盤に明かされますが…まぁスッキリざまぁ展開にはなりましたね。とはいえグレンのスキルが無かったら深刻な後遺症が残っていたレベルの虐待だったわけで、この程度で済まされるのでは軽すぎるというモヤモヤも残ります。
虐待の実態を知らなかった父と、主人公の境遇を作り出した元凶である侯爵の行く末はともかく、虐待実行犯である母の処遇がヌル過ぎる!母と妹はもう少し己の罪深さを自覚する展開になってほしかったです。

さて主人公の「思い描いた種を生み出す」というスキルですが…これはなかなかハイレベル!知っている種はもちろん、図鑑で見ただけ、とか伝説で語られるだけ、という種でもイメージさえしっかり描ければ生み出せるとか、なんというチート!チート溢れるラノベ界(笑)でも珍しいタイプの能力で、使い方次第で色々な物が生み出せそうで、夢が膨らみますね。

一方で、若干残念だったのはグレンのキャラ付けです。グレン視点の話における彼の口調がなんか…「実は俺は○○だったりするのだ」のオンパレードで正直寒い…。なにその語尾。主人公に接する時の言葉遣いのままの方がよっぽど自然じゃないですか。
あと、この作品で彼の「実は日本からの転生者」という設定、必要ですかね?その設定、たいして仕事してませんよね。辛うじて巻末のオマケで「転生者はあらゆる言葉が理解できるので魔物の言葉も解る」という説明があった時くらい?でも本編中で様々なチートスキルを披露している彼なら、言語理解も多種のスキルの恩恵のひとつです、だけで良かった気がします。スキルが多いのも「王族ならそんなもの」で押し切っても差し支えないわけですし。精霊が実在する世界なんだから「精霊の加護がある」なんていう理由でもいけそうですし。転生設定以外でも辻褄を合わせる手段ならいくらでも考えられそうなのに。
この先、物語が続くうちに彼の転生者設定が仕事する日がくるのかもしれませんが…主人公はあくまで可憐なチェルシーなんだし、脇役のグレンにそこまで盛り盛りの設定いらない気がしますけどね。

というか、この話、続く…んですよね?精霊樹と瘴気の話がサラっと語られていて、解決していない案件として残っているので、そのあたりの解決編がありそう…。むしろその先の話が本来作者さんの書きたい話である可能性もある…とは思うんですが、私としては主人公の環境が改善されて(生家の関係者以外は)めでたしめでたし、のハッピーエンドとなった今巻だけでも充分かなという気がしています。






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