魔帝と恐れられる主人公は、ある日「革命だ」と目の前に現れた人物を見て既視感に襲われる。それは最近よく見る夢で、夢の中の自分がプレイしているゲームのオープニングそのものだった。ゲーム開始の負けイベントとあって目の前の”主人公”アレクはいわばレベル1の雑魚のため、ラスボスである主人公が負ける要素は皆無だったが、「この機会にラスボスを降りて自由に生きてみよう」と思い立った主人公はわざと負けて死を偽装。晴れて自由を手に入れた主人公はやってみたかったスローライフを開始した。そして1日で飽きた。ならば冒険者になって世界を見て回ろうと、ゲーム3強キャラの一人でお気に入りのミコリスと強引にパーティを組んだり、元部下達に会いに行ったり、やりたい放題に楽しみ始める。一方ゲームの主人公であるアレクは、ゲーム開始直後に帝位を手にした形になったため、ゲーム本編を通して知り合うはずだった信頼できる仲間もおらず、本人も経験不足で弱いまま、と苦労していて…

というわけで、ゲームのラスボスが立場を捨てて心の底からやりたい放題楽しんでいる話。面白かったです。装備枠ゼロの作者さんか…なるほど。道理で今回も主人公が変た…変人…いえ自由人!ですね。

この主人公は「普通」の基準がよく分かっていないので、気を抜くとナチュラルに悪役ムーブを始めてしまうのが楽しいです。絶大な力を持った自由人ってタチ悪いね!(褒め言葉) いやもう彼の前では絶望なんて存在できませんね。圧倒的過ぎて笑うしかないやつです。
「自分の作り上げた帝国が荒らされるのは忍びない」とゲーム主人公をこっそり手助けしてみたり、「バッドエンドは趣味じゃない」と妖精国の鬱イベントを台無し(笑)にしてみたりしてるけど、やる事の規模がいちいち派手すぎて全然「こっそり」じゃないあたりが何とも素敵です。圧倒的な力の前にはすべてが無意味なんですね分かります。

ちょっと気になるのが、主人公が前世の記憶に目覚めた日本人なのかどうかというところなんですが…。オープニングの描写を読む限りでは「この状況は夢で見た内容に似てる」というだけのはずなんですが、ラスボスやめて以降は完全に「ここはゲーム世界」と思って行動しているみたいなんですよね。前世の記憶持ちと考える方が自然な話運びなんですが、その割に主人公が明確に「前世」というものを意識しているようではなく、そのへんの設定がどうなっているのかが…まぁ大筋には関係ないので良いといえば良いんですが。


今回、大きなイベントをこなして綺麗に終了してましたが、部下の七魔王は二人しか登場しなかったし、まだ続きもあるのでしょうか?個性豊かでそれぞれに凶悪な能力持ち(ただし実際にやってることはほぼギャグ)な二人だったので、こんなのがあと五人も増えると相当濃いことになりそうだけど(笑)、続きがあるなら見てみたいですね。




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