夕月堂 ~本とお菓子と時々旅行

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読書

水魔法ぐらいしか取り柄がないけど現代知識があれば充分だよね?

子供を助けようとして事故死し、気付いたら異世界のスラム暮らしの5歳児に転生していた主人公。希少な水魔法を使えるので本来なら高給取りも夢ではないはずだったが、末端とはいえマフィアの一員として生きる幼い主人公を助けてくれるような奇特な人は誰もおらず、稼ぎの大半を搾取され暴力に晒されながら生きていた。なんとか生活環境を改善したい主人公は、親分と直接対面して仕事できる数少ない機会に一か八かで自分を売り込んだ。プレゼンは成功し、親分直属の部下として働くことになった主人公は、現代知識を活かして水魔法の高圧洗浄で施設をピカピカにしたり、”人が死なない”新しい賭博を提案したりするうち、親分のお気に入りになっていく。そんなある日、高圧洗浄魔法に目を付けた貴族の庭園掃除に駆り出され…

というわけで、スラム暮らしの主人公が水魔法を頼りに頑張って生きてる話。

タイトルからは「水魔法と現代知識で成り上がり」系の軽いコメディぽい印象を受けるんですが、もっと地味で色々と苦労してる話でした。確かに現代知識は使ってるし生活環境も改善していってはいるけど変化は「ジリジリ」という感じで、よくあるなろう系みたいに一足飛びに「料理や掃除で貴族のお気に入りに!」とか「あっという間に影響が広がって本人も貴族に下剋上!」とかいうことにはなりません。むしろスラムパートが長すぎて脱落する人がいるかもしれないくらい苦労してます。

現在の所属がスラムのマフィア(しかも親分直属)とあって、さすがに「劣悪な環境からはさっさと脱出!」とはいかないのが痛いですね。下手したら生命ごとこの世界から脱出しちゃうし。
貴族屋敷での掃除仕事をきっかけに王宮の掃除仕事に出向くようになるのは「環境改善」という意味では多少成り上がってはいるけど、この時も主人公、自分が戻る場所はスラムだと思ってますからね。
最終的にはアレですが、「水魔法と現代知識のおかげ」というより血筋のおかげだしな…。

結構終盤になってきても次から次へと厄介事が湧いて出るので、「これ、落し所どうすんの…」と心配になってきまして、お決まりの「1巻表記はないけど次巻に続く」になるのかな、と思ったら結構な力技で決着付けてきたので別の意味で驚きました(笑) なるほど、そう来たか。
まぁ主人公に「出生の秘密がありそう」とか「主人公の力が貴族に特有のものっぽい」とかはかなりの序盤から示唆されていたので「無理矢理の決着」という感じではありませんでしたね。

ちなみに王宮パートで出没する不審者さんについては…正体バレバレで意外性のカケラもないですよ!
途中で「あの不審者はちゃんと発見して処刑したよ」となった時には「え、嘘?あれ、違った?」とか一瞬思いましたが、その後「裏ではこんなことになってました」というネタ晴らし編で「やっぱりそうだったじゃん」と判明するようになってます。
そりゃまぁ、カラー口絵まで用意されるような人が「処刑される単なる不審者」のわけないよね、という。ある意味最大のネタバレは口絵でしょ(笑)

思ったよりハードモードな人生送ってる重めの話でしたが、そこそこ面白く読めました。
続き…あるのかな?あってもおかしくない感じではあったんですよね。
でも続きは「貴族としての日常」になるのか…。今巻みたいに現代知識を水魔法と組み合わせて色々と試行錯誤、みたいな展開が無くなるとしたらちょっと残念かなぁ。知識と魔法の組み合わせが一発で上手くいくんじゃなくて、失敗を繰り返しながら完成させていく過程が面白かったんですよね。
う~ん…まぁ、もし続巻が出たら、それから読むかどうか考えよう。




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かませ犬転生

大好きなゲームの世界に転生した主人公。彼が転生したのは「主人公シロウと瓜二つの容姿を持ち主人公と同じ魔法を使う敵キャラ」という恵まれたポジションのくせに中盤であっさり敗退してフェードアウトしてしまう「かませ犬キャラ」クロウだった。前世でもっとクロウに活躍して欲しいと切望していた主人公は、どうせなら自分の理想である「圧倒的な実力で立ちはだかる最強のダークヒーロー」を目指そうと決める。ストーリーから逸脱しないよう細心の注意を払いつつも「未来でこんな展開になるようにしたい」とせっせと布石を打っていたら、いつの間にか色々な人に認められていて…

というわけで、ゲーム世界に転生したから理想の悪役目指して最強ムーブかましてる話。

「目指すは”劇場版限定のダークヒーロー”!」と張り切ってる主人公がちょっとあたおかに片足踏み込んでるな~と思ってたら、ヒロインはもっとあたおかだった件!まぁバカバカしくて面白いので良いですけど。

雑魚キャラやヤラレ役に転生して、破滅したくないから強くなる…という作品は多いですが「原作ゲームが期待外れだったから、自分の理想とする姿になりたい」という理由で最強の悪役を目指すというパターンはちょっと珍しい気がします。

主人公は原作クロウの扱いに対しての不満はあるものの原作ゲーム自体は好きで、原作主人公たちに対する愛もあるので、さりげなく彼らの成長を手助けしようとしているのが良い感じ。まぁそのせいで原作ヒロインが幼馴染主人公のシロウではなく主人公の方に恋をする羽目になっているわけですが。お約束!

この作品、主人公が何か「シナリオ」に介入する時に「例えばこんな感じ…」と妄想未来小説(笑)が展開されるのですが、それがいちいち面白かったです。そしてヒロインのせいでその理想像がぶち壊されていくんですね、わかります(笑) 
原作主人公チームの女騎士さんは主人公の妄想通りのリアクションを返してくれるので、彼女と絡んでいる時の主人公が一番幸せそう(笑)

理想の最強ダークヒーローになるために、それこそ赤ん坊の頃から努力を重ねて地道に強くなっていく所は好印象。ただ、ですね…。クロウのルーン魔法が予想よりずっと弱かったからといって「ルーンの文字数が少なすぎるのがいけないんだ!漢字なら可能性は無限大だ!」と、魔法そのものを変更しちゃうのはいかがなものか(笑) それもう「ルーン」魔法じゃねぇ!どこぞの文字使いだ!
と思ったら主人公も一応、漢字を使った魔法の方は「文字魔法」と使い分けてましたね。さすがに漢字まで「ルーン魔法」と言い張るのは無理があることくらいは自覚してたか。

あと、原作ヒロインが主人公に憧れて原作主人公のもとを離れそう…という展開に「ヒロインがいないとシロウが成長できないじゃん!」と焦ってましたが、それ以前に原作の闇医者も大概別人になってしまっていると思うんですが、それについては何も思わないのかな…?彼女、主人公に救われたことをきっかけに主人公にまとわりつき、すっかりヒロインポジに落ち着いてるんですけど?そして原作より大分 変人方向に振れてきてるみたいなんですけど…?

そのあたりは続巻で確認してください、ということで完全に中途半端なところで今作は終了してしまいました。
う~ん、いつも思うけど明確に「続く」という引きにするなら最初からちゃんとナンバー振って欲しいんですよね。何もなければ一冊完結だと思って読んじゃうじゃん…。
一応、「気になる点は残ってるし原作ストーリーも始まったばかり」という状態とはいえ、この一冊だけで終わっても差し支えない程度にはキリが付けてあるとは思うので、まだ良心的な方かな…?

続きは…続きはどうしよう。正直「どうしても続きを読みたい」と思うほどではなかったんですが、それなりに楽しかったので…まぁ読んでもいいかなぁ?主人公の「妄想劇場(笑)」が実現したのか、とか原作シナリオへの影響があったのか無かったのか、くらいは知りたいですね。




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カーマイン・レッド セトの神民 前・後

辺境の惑星タピスで暗殺者の襲撃から逃げ回る主人公。彼は、あちこちにばら撒かれた謎の石を持つ者が否応なく巻き込まれる「死のゲーム」の参加者の一人だった。占い師に示唆された「運命の赤」であるテロリストの少年エイジュと出会った主人公は、彼を護衛にゲームで指示された「目的地」へと向かう。現地の人々に「冥界」と呼ばれる謎の都アム・ドゥアトに向かう道中、参加者たちは次々に命を落としていくが…

というわけで、SF風味のファンタジー…かと思ったらファンタジーの皮を被ったSFだった話。

随分前に作者買いしたものの、私の好む作品傾向が変化したのと作者の作品傾向が変化したのとの相乗効果で長年積読になっていた作品です。奥付を見たらなんと平成14年の刊行!さすがにもう古本屋以外で手に入ることはないんだろうな…と思ったら電子書籍では普通に存在してました。意外に息が長かった!

もともとこの作者さんの書くオカルトコメディが好きでとりあえず手当たり次第に集めたんですが、これはオカルトでもコメディでもありませんでした。普通にシリアス。そして、特に前半は「よく分からない」という印象のままどんどん進むので何度か挫折しかけました。さすがに後編は一気に畳みかけるように物語が動くので面白くなりましたけどね。後編で登場する墓守の女の子が可愛かったです。

ゲーム参加者の証である「石」の正体とか後半で明らかになるこの惑星の真実とか「神」の正体とか、興味深い面も多々ありましたが、全体的に「なんか読みにくい」という印象がある話でした。
キャラクター的にも主人公とエイジュのコンビの魅力が今ひとつ足りてないというか…。主人公以外に唯一アム・ドゥアトまで生き残った「参加者」のチェンさんとアム・ドゥアトの墓守ちゃんの脇役コンビとか、エイジュが地下迷宮で出会ったガトさんとかの方がよっぽど良い味出してたんですよねぇ。主人公はまだしも、エイジュが最後まで魅力を感じられないキャラのままだったというのが痛い…。

ラストは「次は主人公の一族の女ボスが”裏切り者”になってしまった主人公に報復を仕掛けてくるよ」みたいな「匂わせ」があって、続編想定があったことが伺えるので、エイジュについては続巻から掘り下げていくつもりだったのかもしれません。おそらくシリーズタイトルになるはずだったであろう「カーマイン・レッド」ってエイジュのことでしょうし。
ですが、結局シリーズ化はしないままで終わったっぽいんですよね。エイジュ、魅力的になり損ねたね(笑)
まぁ…あんまり「売れ筋」っぽい展開の話でもなかったし主要人物にも魅力が足りないとくれば、続編は難しいですよね~。



同じ作者の別作品 → カラクリ荘の異人たち



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辺境モブ貴族のウチに嫁いできた悪役令嬢が、めちゃくちゃできる良い嫁なんだが?

乙女ゲーム世界…とはいえ物語とは無関係の危険な辺境地帯のモブ貴族に転生した主人公。家を継がない気楽な三男坊だし、成人したら冒険者になって…などと夢見ていたが、隣国が仕掛けてきた侵略戦争で父や兄達が戦死してしまい、領主として慣れない執務に忙殺される日々を過ごしていた。そんな中、乙女ゲームの「悪役令嬢」である公爵令嬢アリシアが王子から婚約破棄され、主人公のもとに嫁いでくることになった。「ヒロイン」との決闘に敗れ顔に大きな火傷の痕を残した彼女は、会ってみれば他者の恨みの権化である”魔虫”に取り憑かれながらも毅然とした強さを失っていない魅力的な女性で、主人公は婚約者として彼女を破滅の運命から救い出そうと決意する。共に辺境で過ごすうちに少しずつ距離を縮める二人だが、貴族の義務として学園に通い「乙女ゲーム」の物語の中に飛び込まなければならない日が迫っていて…

というわけで、乙女ゲーム終了後の「悪役令嬢」と辺境領地で内政チート…な話になるのかと思ったら乙女ゲーム真っ最中だった話。

結構面白かったんですが、何が驚いたって「悪役令嬢の断罪イベント」が終わってるのに乙女ゲームは終わってなかったってことですよ。タイトルでも「嫁いできた」とか言ってるんだから、てっきりこのまま辺境で主人公と過ごすものだと思うじゃないですか…。
実際、序盤では慣れない領主業に翻弄される主人公をアリシアが手伝うようになって、辺境に馴染むにつれ「無くてはならない存在」として領民に慕われていく…みたいな流れだったし。

なのに中盤から「学園に通わなきゃ」とか言い出す上に、乙女ゲームはまだ終わってないとか言い出すんですもの。ポカーンですよ。いや「辺境に嫁いできた」嫁じゃないんかい!単なる婚約者として一緒に王都に舞い戻って学園に通うとか予想してませんでしたよ!
そもそも、王子に婚約破棄されて危険な辺境に追いやられた公爵令嬢が「休み期間が終わったから新学期からまた通う」羽目になるなんて、いくらなんでも可哀想すぎません?あれは卒業式にやるから断罪される側も最低限の尊厳が守られるのであって、在学中に起こして良い騒ぎではないでしょう…。
一応シナリオを知っている主人公が守る決意を固めてはいるけど…これ、元の乙女ゲームと同じ流れだとすると「嫌がらせに耐え、決闘までして排除したはずの”悪役”が引き続き邪魔してくるゲーム」ってことになるんですよね?それ”ヒロイン”にとっても微妙に勝利になってないというか…。え、落ちぶれた「かつての敵」の姿を嘲笑って楽しむ趣向なの?恋愛ゲームなのに?それはヒロインも攻略対象も性格悪すぎですよね…?なんて変なゲーム…。

まぁゲームのアリシアが「悪役」として破滅したのは黒幕が人為的に彼女を捻じ曲げたせい、というのは今巻で明かされているので今後のシナリオは大きく変わるんでしょうが…あからさまに「続きあります」という中途半端な終わり方になっているのはマイナス点ですね。ラノベ界には多いことですが、最初からナンバーを振っていない=続巻が無事に発行されるとは限らない ということなので、少なくとも1巻目は単体で綺麗にまとまってくれないと。

というか、やっぱり乙女ゲームのシナリオは素直に「ラストで悪役令嬢が断罪された」という流れで、本作は「乙女ゲーム終了後の世界で元悪役令嬢と幸せになる話」という方向性にしてくれた方が良かった気がするなぁ。だって学園に舞台を移した後よりも辺境で暮らしていた頃のエピソードの方が明らかに面白かったんですよ。サブキャラもイキイキとした良いキャラが居たし、舞台設定としても「何かというと侵略しかけてくる隣国」「油断すると溢れる魔物」という危険要素があるので二人の仲を深めるエピソードにも事欠かなかったと思うんです。タイトルにも沿ってるし。
主人公、ヒロイン共に造詣は良いので物語の進め方に勿体なさを感じてしまいました。




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当て馬大好きセシリアちゃん

大好きな少女漫画の世界のモブである「ヒロインの姉」に転生した主人公。決してヒロインとは結ばれない「当て馬男子」が大好きな主人公は、完結した少女漫画の「その後の世界」に生きる当て馬男子たちを間近で堪能できると大喜びだったが、ヒロインに救われたはずの彼らがそれぞれに事情や苦悩を抱え込んでいることに気付いてしまう。「推し」に幸せになってもらうため、そして自分がそれを見て幸せになるために、あれこれ奔走する主人公は、無自覚に当て馬男子たちの心を救っていって…

というわけで、完結後の漫画の世界で推し活に邁進してる話。

面白かったです。主人公の性格が可愛いですね。そして大好きな当て馬男子と一緒に過ごす毎日に終始ハイテンション(笑)
ちなみに「ヒロイン」は、主人公が前世を思い出すきっかけになった事故に巻き込まれ(というかヒロインが主人公を巻き込んだ側)足を骨折して入院中なので、本編には不在です。これもある意味斬新。
とはいえ別に性悪転生ヒロインとかではなく漫画通りの素直で可愛い「ヒロイン」で、主人公とは大の仲良し。この二人の関係も微笑ましくて、基本的に「悪い人間」というのが出てこないので安心して主人公の推し活を見守れます。ほっこり。

お約束の「悪役令嬢」も出ません。替わりに当て馬男子の一人に恋する「負けヒロイン」は出ます。
この子がまた可愛い!主人公が「当て馬」を好きな理由の一つが「好きな人に対して一途だから」なんですが、彼女もまた「好きな人に一途」な子なので…そう、もちろん主人公の推し対象です(笑)
この子のエピソードはほのぼの・じんわりでとても良かったです。

主人公の最推しで、ヒロインの相手の座を最後まで争った当て馬男子エリオが一応ヒーロー枠ですね。彼が「ヒロイン」に恋した理由が「幼い頃の思い出」なんですが…これ明らかに主人公でしょ!わざわざ主人公とヒロインに”そっくり設定”があるのはそのためとしか思えませんし!
でも、その部分、原作漫画では描かれなかったんですよね…?人気キャラだったらスピンオフとか後日譚とかでその辺りを拾ったエピソードが描かれていても良さそうなものですが。
…と思ったけど、確か主人公が死んだのって最終回が月刊誌に発表された直後だっけ?それなら単行本で後日譚が収録されるような事があったとしても主人公の死後の出来事ってことになるから知らなくても当然か。

漫画でメインキャラとして登場していた「当て馬男子」達はまだ全員が登場したわけではないしエリオの主人公への感情の変化もあるので、続巻もありそうな感じですね。
面白かったので続きが出たら読んでもいいな。




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